【人】 神原 ヨウ────303号室 [何通りか部屋の中の相手に言う言葉を考えていた気がする。 どう考えても狙いすぎの言葉や、出来るだけ自然な言葉、直球の言葉とかとか。 ぐるぐると頭の中で徒競走をしてた第一声の候補達は、部屋から聞こえた相手の言葉で>>36一気に足並みが乱れる。 だぁりん……って? 次いで現れた相手の顔は、輪をかけてオレの頭の中をしっちゃかめっちゃかにしていった。 手の中にあった薔薇をうっかり落とさなかっただけ、自分を褒めてやりたい。] ────あ、あぁ、…はい……。 [挨拶すら忘れて>>37彼女の言葉のままに部屋に入る。 随分長い間ぼやけていた>>26初恋の人の顔が、不思議なことに目の前の女性の顔に入れ替わった。 10数年以上の拗らせた恋は、新しい出会いの前に霞んだのか? 彼女の顔をもう一度見れなくて、オレは彼女よりも先に部屋の奥に入り外の空気でも吸おうとした──窓が開かない事に全く思い至らず──ところ。 聞こえてくる不思議な音にふと横を見る。 そう、何というか聞いた事はあるが、体験したことは無いというか。この場にあまり馴染みがないようなそんな音……というか声。 >>34テレビに映し出された肌色と肌色。 女性が男性と抱き合いながら……勿論裸で……連続した破裂音のような音を響かせて……。] (38) 2021/07/01(Thu) 20:34:06 |