【人】 小満末候 麦秋至―― 蛍は蛍を可愛がりたい ―― むっ……。 [わたしは両手を広げた。>>6 「さあ、わたしの胸に飛び込んでおいで……」と言っているように見えるけれど、 胸に飛び込んでくるのを待たず、近付いてきた橙色の生き物を抱き上げた。 おお、中身がきっちり詰まっているような重量感がある] …………。 [ふむ、わたしたちひとの言葉は喋れないようだ、 と鳴き声(たぶん)を聞きながらそっと判断する。 おや、でも、最後の「チュ」は鳴き声(たぶん)にしては変わっているような。 だっこしたまま橙色の生き物とまじまじと見つめ合い、 だんだん顔を赤くしていった。 抱っこだけでは飽き足らずKissをねだっているように聞こえたからだ] (40) 2022/01/25(Tue) 23:40:21 |