【人】 怪力 シャオロン――婚儀の日―― [小龍を見送る人はいない。 村人の多くに親切にされ、仕事も与えてもらったが、誰にも「家族」として迎えられることはなかった。 世話をしてくれた中年の女の中には旦那に内緒で、と、幾度か寝台を共にした者もいたが、それこそ見送りで旦那にばれては困ると思ったのか、顔を見せにくることもなかった。 選ばれた者たちはどちらかの一族の元に行くのではなく、まったく新しい中間地点に暮らすのだという。 和平を謳っておいて、「敵」と通じた人間を余所に追いやるのかと思わなくもないが、それこそ「敵」に放り込まれた人間が幼い自分のように虐められてはいけないという配慮なのかもしれない。] …………。 [嘆いている女の姿を遠目に見て>>35、まだ見ぬ自分の番も泣いているのだろうかと思う。 女は大変だ。 婚姻を結ぶだけではなく、「孕む」ことまでを強要されるのだから。] (41) 2021/12/02(Thu) 16:46:36 |