【人】 九朗[舞いが終わり、観衆の輪が少しほどけたその流れに流されるように。>>36 止まっていた九朗の足も再び歩き出す。 手に持っていた串団子は残り二本。 偶然、白く丸々子猫を抱えたご隠居とすれ違えば。 手ぶらで帰るその様に、餅もまだ柔らかい串団子を土産にどうぞと手渡したかもしれない。 そうでなくとも、途中で一二三に会うかと少し多めに買ってみた串団子。 このまま持っていても、これでは神楽が始まるほうが早そうだと。 更なる人込みの予感に早々に見切りをつけて、甘さと塩気の塩梅がちょうどいい桜餡を口へ運んで咀嚼する。 もっち、もち。 食べ歩きは行儀が悪いと咎める人も今はおらず。 小さな子供に至っては、綿菓子片手に器用に人ごみを抜けて走り回っている。 それでもぶつかりそうになれば、九朗の方が半歩避けて道を譲り。 別の通行人に肩をぶつけて、すみませんと頭を下げることになるのだがご愛敬。*] (41) 2022/04/12(Tue) 22:40:21 |