【人】 因幡 フウタ[理恵の腹の音には気付けないまま、 竜宮城の朝の馳走が運ばれてきて、また二人で摘まんでいく。 理恵が珍しく、こちらにしか用意されていない食べ物に興味を持った。温泉卵だった。>>22 言われた通り小鉢を差し出して好きなだけ取らせたが、 反応はあまり期待していなかった。 わりといけるとの評価に少し驚いたが、それだけ。 小さな差異を、へぇ、と頷いて流してしまって、 そのあとのかりっとまんじゅうとやらに二人で舌鼓を打った。 土産屋にないのかな、探してみよう、と提案したりして、 元旦の朝飯もいい時間となった。 食後に御簾の中で二人で寛いでいると、 ふと、理恵が窓の方へ視線をやる。 そうかと思えばこちらに乗っかって来て、その突拍子もない襲撃に「ぐェ」と鳴いてしまうのは割とよくある光景。 だが目の前に差し出された問い>>23に、 沈黙──そして、こく、と喉が鳴る音] 理恵が、 いやじゃないんなら。 [そりゃ露天風呂のは落ち着いたが、 散らせなかった劣情の記憶はまだ新しいもので。 気が乗る様にしてみるけど、 気が乗らないんなら途中まででもいいだろうとは考えながら、 朝餉が運ばれる前に着替えていた理恵の服の裾に手を添わせる。 指先で縁をなぞるだけから、摘まんでぴら、と裾を持ち上げる] (41) 2021/01/10(Sun) 5:17:04 |