【人】 運び屋 バーナード>>41 カストル 「……そっか。そういうことなら、お前の経験を奪いはしないよ」 痛がりたいのならば。それがあなたの願うことで望みであるというのならば。 とめどなく零れ落ちていく生命が床に広がっていくのをどこか遠くに感じながら、肩を焼くような痛みを抑え込むようなしぐさで自らの傷を抑えた。 銃口を突き付けられて、目を背けたくなるような恐怖が沸き上がるけれど。 本当はこんなことをしてほしくはないし、自分の命を背負わせたくはないけれど。 それを許容するのが己が役目、無思慮な行いの報いだと思うから。 ……そう思わないと、怖くて、申し訳なくて、苦しくて、泣きたくてたまらないから。 あなたをじっと見つめ返して口を開く。 「かっこいい顔するじゃん、カストル。 ――約束、忘れるなよ。 『このゲームが終わったら互いにご褒美』だ」 あなたが引き金を引くまで、"この"生がある間、 バーナードは"今の"あなたを見つめ続ける。 (42) 2021/09/09(Thu) 23:50:13 |