人狼物語 三日月国

55 (R18)竜宮城


【人】 因幡 フウタ

[あぁ、綺麗な色だ。
理恵の好みとは思えない。
こんなの、俺に似合う色をと探してくれたんだと自惚れてしまいたくなる。
手に触れると指先からとろける様な滑らかさで、
持ち上げると浮いてしまいそうな軽さだった。
なのに首に巻くとしっかり、優しく温めてくれる]


  理恵……こんな良い物……


[人間の身に纏う物の価値は、正直未だにわからない。
けれどこんなに気持ちのよい布は生まれて初めて触れる。
そんなに稼いでいる訳でもなし、
そもそも慣れない仕事を頑張って手に入れた金でこんな高そうなものを買ってくれたんだと思うと、感動するなという方が無茶だ。

抱き締めたいのを、ばあちゃんの手前、抑えた。
花嫁姿の理恵を見た時には感極まって抱き締めてしまって、ばあちゃんに「お着物着崩れちゃうわよ」とたしなめられた。
今はたしなめられたりしないだろうけれど、
ばあちゃんの前でそう何度もタガを外す訳にはいかないのだ。

ありがとう、と笑って、]


  良い旅行にしよう。


[そう約束した。*]
(42) 2020/12/28(Mon) 3:21:53