【人】 灯守り 立春[さて、そんな処暑さんを見送ってすぐ後のこと。 突然上がった誰かの悲鳴めいた声に驚いて>>2:141 何事かと慌ててそちらへと視線を向けた。 ──そこにおられたのは いつも小満さんの傍に控えておられる 可愛らしい蛍さん、麦さん。 彼女もまた見たところ同じくらいの歳に見えて ひっそりと親近感を抱いている方のひとりだ。 そんな麦さんが急ぎ駆け寄った先に あったのは自分の和菓子で、 ほっとした表情で小皿にとってゆく姿が見えたから>>2:142 そのあまりの微笑ましさについにっこりしてしまった。 大丈夫。そう簡単に消える数じゃありません。 本日はお留守番中の蛍さんたちや お師匠様が居られる方にはその方の分までも お土産に持ち帰っても十分なくらいの数があります。 ただし、その分、ひとつひとつが お祭りの当日作る予定のものよりも少し小ぶりですが。 小満さんのお店『慈雨』にお邪魔したことはまだない。 お店の評判を風の噂で聞き付けて 料理の研究がてら遊びに行きたがった弟子を、 師匠は悉く止めたのだ。] (42) 2022/01/23(Sun) 18:38:09 |