【人】 灯守り 立春[その当時、珍しく焦った様子の蘭花様いわく] 「駄目だ。絶対駄目。 僕は東風ちゃんを小満に逢わせたくない。 あれは末恐ろしい天然誑しだよ。 啓蟄域の小蝶、 君の目から見ても礼儀正しくて非常に有能な 凛としたお姉さん、って認識だろうけれど 彼を前にすると完全に恋する乙女になってしまうんだ。 あの羞花閉月の傾国美人がね。 本人は上手く隠しているつもりのようだが…… ……そんな奴に会わせてしまったら東風ちゃんも 僕より彼の方がいい、って 言い出してしまうかもしれないだろう? だから駄目。」 [私は今までもこれからも姉一筋です、と正直に答えたら 身内は別だと謎の理論を展開されたのを憶えている。 師匠と小満さんお二人の仲は 特に悪くはなかったようだけれど、 そういう理由で灯守りになるまでお逢いする機会がなかった。 加えて立春域からそちらの方角へ向かう時は大体 その隣の芒種域でお姉ちゃんに甘えて たまの休暇を丸々終えてしまう。かくして、 美味しいと評判のごはんは未だに食べそびれている。] (43) 2022/01/23(Sun) 18:38:31 |