【人】 何処にでも居る 鏡沼 創>>43 柏倉先輩 実際、鏡沼も事情聴取時には、異能抑制剤を飲んでいる時の 『いやに静かで落ち着ける感覚』がそれではないかという旨の 発言はしている。『普通』の感覚が逆なのだ。 「自分が、力加減ド下手糞野郎だって自覚はありやがるん ですがねぇ。気軽に練習出来るモンでもねぇですし」 「薬を常用すんのは、今まで考えた事ねぇパターンで やがりますね。ただ『新薬』ってのは御免被りてぇです。 唯でさえ手に余ってんで、強化とか変質は要らねぇですよ」 あなたの様に、何かしらのコネや伝手がある訳でもない。 鏡沼が普段使っている異能抑制剤は、メジャーな市販品だ。 「人を頼る事をでやがりますか。 ……ま、考えときます。 そう言われて、今すぐ頼ろうってならねぇ程度には スレちまってるみてぇなんですよねぇ、僕」 他人に頼ろうとはあまり思えなかったし、自分に出来る範囲が 広すぎたというのもある。 鏡沼創は、正しく“天才”だ。 他者の認識の中に居る“自分”を全て知ってしまう異能を 持つが故に、人間の汚い部分はかなり見てしまっている。 其処に“鏡沼創”が混ざったなら、醜悪な妄想さえも 自身にフィードバックされてしまうのだから。 けれど、この男はそれでも人が嫌いになっていないのだから。 あなたの言葉に頷ける日も、いずれ来るだろう。 (45) 2021/11/05(Fri) 6:21:43 |