【人】 導きの天使 サーリフ>>43 シャフリヤール 感情取得 === 商業地区をゆっくり歩く。 それは、政敵のいない煉獄ならではの、シャフリヤールの暇つぶしだった。 その金髪の青年の後ろを、サーリフがついて歩く。 つきまとっている、という表現の方が合っているだろう。 シャフリヤールは嘆息した。 「天使というからには、何か少しは趣向が……と思ったが、やはり期待はするものではないな」 シャフリヤールの皮肉げな呟きに、サーリフは首をかしげて応えた。 「私のことですか?」 「ただこうして俺たちを見ているだけ。 天使らしい芸のひとつを披露するでもない。 振り返ればお前がたびたび視界に入るのは、気持ちの良いものではない」 「ああ、親愛なるシャフリヤール。 私は大切なキミがっかりさせておりますか? 申し訳ありません」 ――親愛。大切。 この、どこか胡散臭い天使の青年は、たびたびそういった一方的な好意をシャフリヤールたちに向けて口にする。 それにも少々うんざりしていた。 (46) TSO 2021/09/18(Sat) 12:11:36 |