![]() | 【人】 経理課 望月 ロビン#3日目スパの部 >>44 「交代するより何より、キミを引っ張り上げるほうが先だよ」 多少呆れ混じりな声を吐きつつ、掴んだ腕を思い切り握る。ちょっと力の掛けすぎだ。 スライムまみれになっているのだからこれくらいは勘弁してもらいたい。 あふれる粘体がまだ少ないところに足を掛けて力を入れて、やっとのことで全身引っ張り出した。 痩せっぽちの体は軽かったからなんとかなったけれど、これが本当に交代したら。 多分、2,3人がかりで引っ張り上げることになるんだろうと思うとちょっと恐ろしくなった。 「これ量が少なくなったらちゃんと自我を失うのかな。 製品の機序についてはわからないんだけど、どうなんだい。 ……ちょっと飲んだ? 吐き出したほうがいいのかな」 助け出したはいいものの、スライムについてはさっぱりわからない。当たり前だ。 今はそもそも責任者代理がいるのだから、当人に聞いたほうが早そうだ、なんて。 すっかり満身創痍になっていそうな体を腕の中でひっくり返して、膝の後ろに腕を入れる。 上腕に背中を預けさせれば、多少は両手も使えるだろう。 黒い髪にまで張り付いたスライムを、どうしたものかと見下ろして頭を捻った。 (46) 2022/09/27(Tue) 0:48:26 |