【人】 国文学教授 クマガイ─月曜日・夕方/私立野薔薇大学・喫煙所─ [喫煙所に人が増えたのは考え事をし始めてから煙草を一本吸い終わる頃だったろうか。 器具から取り出した吸殻を灰皿に落としながら不意にそちら>>46へ視線を向けると、どことなく見たことのある雰囲気の生徒だったので、首を捻った。 多分文学部の生徒だった気がする。だが、名前がスッと出てこないということなら自分のゼミ生ではないし、今年度授業を持っている生徒ではないだろう。 昨年の授業の記憶を辿る。似たような背格好の生徒の面影があったのは……] ……木曜三限のの文学史? [閃いた授業名を思わず口にしてからはっとして、申し訳なさそうに眉尻を下げた。 目の前の生徒はきっと『この人突然何?』と思っていることだろう。 気まずさを誤魔化すように煙草をもう一本取り出して器具にセットした] (47) 2021/04/06(Tue) 21:26:02 |