【人】 二年 武藤景虎―教室― [生まれつき普通とは縁遠い世界で生きてきた。 二次性徴期が訪れ普通の世界で生きることは困難であると知った。 普通の「人」ではないのだから自身は最早人以外の何かなのだろうと受け入れている。 それでもクラスメイトたちと普通を演じて生きているが故に、根本的なところで普通を夢見る者の気持ちに気づくことはない] そうか、俺が危険だったか。 だが、今のところ一切危険を感じていないんだがな。 [そう、淫魔に危険性を感じてはいない。 淫魔は景虎にとって薬であり理性を維持するために必要な存在だ。 それが飢えていようとも関係ないほどの精気に満ち溢れていることはすぐに気づいてしまえるだろう。 頬を撫でる手を捉えられる。 小さく冷たい手に景虎の手の熱が伝わっていくだろう。 手のひらに唇を寄せられれば手の位置を動かし親指で唇を撫でていく] (47) 2024/11/12(Tue) 3:01:25 |