【人】 根暗 ミヤノ─月曜日・夕方/私立野薔薇大学・喫煙所─ [喫煙所の端へと無事に辿りつけたことでほっと息をつく。 自分が何年生なのか分かるのならすぐ声を掛けてくるはずだ。そう思って油断していたせいか、相手>>47が発した言葉に思わずそちらを見てしまった。 ――木曜三限の文学史。自分の学科の生徒であればほとんどが1年生で取り終える授業であり、自分も昨年取っていた、相手の担当授業。] えっ、あ……何で……。 [明らかに動揺した様子で相手を見る。 手に持っていた袋をそれとなく背後に隠しはしたものの、喫煙所にいる時点で言い逃れのしようもない。 ばつの悪そうな顔で項垂れながら一歩後ずさった] ……俺のこと、覚えてるんです、か。 (48) 2021/04/06(Tue) 22:00:43 |