【人】 灯守り 白露[かつて、霜降域でわたしは暮らしていた わたしが捨てられたのは、お部屋からは遠く離れた霜降域の北 もう要らないのだと、お人形は … 雨のひどい夜だったと思う、 レースやフリルで飾り立てられたパラソルではなく、真っ黒で飾り気のない傘をさしたあの人は、ここならば人が通らないだろうと言いながらわたしを適当な岩の上に座らせた 雨を吸った 真っ赤 なスカートは、すっかりボリュームを失ってただ足枷のように重くなって濡れたフリルブラウスは、体温を確実に奪っていった あの人の言う通り、ずっとお人形でいたら、きっとまた見てくれると思っていたのに] (48) 2022/01/19(Wed) 13:53:55 |