【人】 二年 武藤景虎 むしろ危険なのは馬場園だろう。 俺はゾウアザラシのような淫獣らしいからな。 [馬場園が欲するかという問いかけに頷いてから言葉を重ねる。 視線が揺れ残っていた生徒を見ては視線を落としたが、一人、また一人と生徒が教室から抜け出ていき最後の一人がいなくなるとガラリと音を立てて扉が閉まり二人きりの密室が完成した] 何を謝るんだ。何も違うことはないぞ。 欲しいんだろう。俺も、欲しい。 そして馬場園は我慢できても俺は淫獣だからな。 俺が我慢できないんだ。 [唇を撫でる指は唇を割って唾液に指の味を馴染ませる。 淫魔がどうすれば抑えが効き難くなるかは知っている。 身体の味を、匂いを、そして精気を感じさせれば最早虜と言ってもいい。 同時に人の身はそれよりも容易く淫魔の虜なわけであるがそれはいい] だからさ、逃げなきゃいけないのは馬場園だったわけだ。 ほら、もう我慢できなくなっていく――。 [手にキスを受けるが立ち上がっても景虎の手は馬場園から離れることはなかった] (48) 2024/11/12(Tue) 3:02:03 |