【人】 影法師 宵闇>>47 御山洗 蝉時雨を聞きながらぼうっとしているうちに、さすがに遅いな、と思う程度にはそれなりに待ってしまっていた。 彼が約束を破ったことはないとは知っていても 慌てて戻っていったわりに、遅いことに疑問を感じた。 待たなくてもいいとは言われた手前、いいかとも思ったし いつものめんどくさがり屋の男なら先に行っていただろう。 「……おーい、アキラ。遅くね? 着方忘れたとか?」 だからこれは気まぐれか、他に思うところがあったか。 一度立ち上がって、開いたままの扉を開けて勝手に上がり込んできた。昔やっていたくらい図々しく。 ただ少し様子をみるくらいの、軽い気持ちだった。 (50) 2021/08/16(Mon) 0:16:58 |