【人】 銀の弾丸 リカルド>>48 ツィオ 「ほぉ? 俺が田舎上がりならお前も田舎上がりだろうが」 馬鹿め。とそう悪態をつき、強請られれば持っていじるジッポで火をつけてやる。 質の良いもので揃えた身の回り品の中では唯一古びたそれは、ファミリーに入って暫くした頃に上司のヴェネリオにもらったと言って大事に使っているものだ。 「全くだ。 今回の件がなければこんな所に来ようとは思わん。 ……酒は多少は呑むが、役に立たん女など居て何になる。俺には不要だな」 無論、ファミリーで働く女性の話ではない。 女性でも強い者は強いし、働きがわかる人間であれば敬意を評してるつもりだ。 だからこそ、力を持たぬ女子供をどうこうするつもりはなく、抗争の際にはこっそり逃したりすることがあるのだが。 「……女の尻の話など俺に聞かせるな」 続く問には苛立ちを隠さず言葉を噤んだ。 「…………、」 上には腐った者が居るのは間違いはない。 能力重視のファミリーにおいて、腐敗したお上は不要だが……だからこそ、ボスに取って代わろうとする愚か者が居ないとは言い切れない。 「もしそうであれば、証拠を掴み次第海の藻屑にしてやるに決まってる」 ぎちり、と。 歯が根を鳴らし、殺意の滲んだ目であなたを睨んだ。 (50) 2022/08/10(Wed) 2:29:48 |