【人】 何処にでも居る 鏡沼 創>>48 >>49 >>50 柏倉先輩 「……そういうやり方もありやがるんですねぇ」 克服したいという意志があったとは言い難い為、異能を 取り巻く昨今の状況については、決して詳しくない。 仮に調べようとしたとして、一介の高校生が知れる情報はそう 多くはないだろう。幾ら、目や耳が無数にあったとしても。 現実を、他人の認識を、在りのまま受け容れ。 抗う事すら知らず、流されるに任せ。 何処までが自分かすらわからない程に、透明な存在。 自分で足掻くという事を知らない──否。 足掻いている事さえ認識出来ないのが、鏡沼創という人間だ。 「望んでるかってのは、正直わかんねぇですが。 制御出来てねぇってのが問題なのは、理解しちまいました。 ……となると、公共の福祉に則って柏倉先輩が僕に異能の 制御を提案するってのは、強ちおかしな話でもねぇですね」 結局の所、鏡沼創は。 道を示された所で、自分の意志で何かを選べる人間ではない。 もし選べる人間なら、実質“何にでもなれる異能”を与えられて大人しく一介の高校生で居る訳がないのだ。 となると、その判断基準は相手。次に公益性。 「信用も信頼も期待も、正直ねぇですがね。 利用すべきって判断は下せちまいましたよ」 「柏倉先輩、アンタが『自分』ってのをそう定義しやがるんなら 引き立てられる光やら、乗り越えてく人間やら、寄り添われ 相談する側ってのは必ず要りやがるんじゃねぇです?」 (51) 2021/11/05(Fri) 21:10:21 |