【人】 狐娘 レイ[泉のほとりに二人腰を下ろして、泉に手を浸す。 ロンの声は静かに耳に響いて心地が良かった。] ……わたしに? [彼の言葉にきょとりと目を丸くしていれば、手が伸びてきて。 泉を覗き込めば、獣耳の傍に花が咲いた。 呟く声に、ぽっと頬が赤く染まる。 彼の瞳と髪色みたいに。 ようやく垣間見えた彼の笑顔につられるように微笑んで、] ありがとう、ロン。 だいじにするわね。 そうだ。 あなたがわたしをたすけてくれたかわりに、 わたしがロンのかぞくになってあげる! [彼の両手を取って約束を交わした。 彼と同じ色の赤い花は、家に持ち帰った後は押し花にして大事に大事にしまわれた。] (51) 2021/12/02(Thu) 18:55:59 |