【人】 蕃神 雷恩 ――…… 騒いで、いるね。 [感覚器官を。根を、伸ばす。 土を構成する砂利や粘土、石英の欠片 腐葉土と呼ばれる落ち葉の腐敗物 それらをかき分け、下へ。更に、下へ。 己の根差す場所を探して。永遠に根差せるものを探して。 ――汚染された大地ばかりのこの世界では、未だ、出会えず。 網のように張り、そして役目を終えれば それはまた再び己の躰にしまわれるもの。 それを伸ばしているときは、己は限りなく植物に近くなる。 植物に近くなる、ということは 外気の変化、温度の変化。或いは―― 他の生命体の近づく様子が鋭敏に感じ取れるようになる。 この感覚は馴染みのある桜花でも、AIの彼らでもない 機械の彼らや、研究者らでも、ない。 覚えのあるものだ。 我らを出迎えた、桜花や己に近い存在のような者>>40] (51) 2023/11/18(Sat) 18:53:40 |