【人】 花で語るは ソニー>>23 ヴィオレッタ カウンターに肘を掛けて食い気味に話しかける様子は軽薄そのもの。 酒も入ってちょっとばかり陽気に拍車を掛けて、馴れ馴れしくっておしゃべりな印象。 "花屋のソニー"に相応しいふるまいは、それだ。 社交辞令めいてきこえるような声が返るならちょっとだけやにさがって背筋を伸ばしもする。 「寝物語がオレでいいのなら、いくらでもご一緒するよ。 水辺の白鳥みたいに、羽繕いでもしようか?」 相手の言葉にはぱっと口を大きく開けて、とびきりの笑顔で快諾する。 それなりに中身の減って扱いもほんのり粗雑なグラスが、鷲掴みにした手の中で揺れる。 軽口は何も全て本気じゃないわけではないのだが、それはそれ。 「そうだね、ここ最近の中じゃ一番盛況だ。大イベントだからね。 どこもかしこも引っ張りだこでさ……配達車の中は花でいっぱい! もう一台くらい増やしてもいいんじゃないかって話してるよ。従業員増えないのに」 内容は花屋としての仕事の内容にも聞こえる、そういう被り物だ。 既に噂にもならないほどの小競り合いで、火種はちらつきはじめているのだろう。 花は武器、増えないのは諍いのあるほどに減っていく構成員。 実際の表稼業の状態と照らし合わせても不審な点があるわけではないのだから、 互いの本質を知るものでなけりゃ、耳にしたところで訝しみもしないのじゃないだろうか。 「けれどもこんな小さな島の祭りに、外から来る人もいるんだね。 どんな人が来るんだろう?」 (52) 2022/08/10(Wed) 5:34:14 |