【人】 凍剣士 スピカ君が、せめて君だけでも、ここから抜け出せるように祈ってるよ。 俺も、今すぐには抜け出せなくても、またいつか、君に会いに行く。 [その時、胸の内に沸いた欲望は、彼が無事に戻る事。 自分は、もう手遅れだろうから。 数少ない友人が、自分の知る友人のままでいて欲しい。 叶うなら、自分もいつかまた彼の隣に立ちたい。 そんな純朴な願い。] ――それでも、もし堕ちてしまったら。 俺も、きっとイルも、君が堕ちた先で待っている。 [彼を、一人にはさせたくない。 ただただ、胸の奥底の願いを口にする。 彼の落ちるところが、たとえ帰り道のない程深い場所であったとしても、迎えに行きたい。 それが、今抱いている欲望だった。] (53) 2021/05/05(Wed) 0:42:43 |