【人】 凍剣士 スピカ[一しきり、心の内を吐露したところで、イルの方へと歩みを進める。 テンガンが何をしていようと、振り返ることはしない。 イルはどうしているだろう、未だ絶頂の余韻で満足に動けないでいるのだろうか。 どうであろうと構わない、彼女の身体を抱き上げて、そのまま湯舟へと向かう。 自らの着衣が濡れる事も構わず、湯の中へと歩み入る。 そうして水をかき分けながら、ある程度進んだところで腰を降ろした。 自分も、彼女も腰ほどがつかる程度の深さ。] ずっと、貴女を探していました。 このまま堕ちてしまう事が避けられないなら、貴女と共に堕ちるのがいいと、そう思っていたので。 ――何故そう思ったのか、自分でもわかりません。 [愛などと綺麗なものではない、それは決定的に違う。 けれど、この感情をどう呼べばいいかわからない。 彼女を自分の支配下に置きたいのか、自分もテンガンのように、彼女を貪ってみたいのか。 どれでもあって、どれでもない。 ただ一つ、確かに言える事は――] (54) 2021/05/05(Wed) 1:02:39 |