【人】 メンタルセラピスト ルイ― 回想 とある別荘の一室 ― どこぞの一等地、父の別荘の一つ。 僕の即席の診療所。 そこに彼女を呼び出した。 「さぁ、そこに座って。」 選んだ場所は、父の書斎。 広々とした空間に本棚が並び、アンティークな趣味の良い椅子やテーブルが並んでいる。 それらは、持ち主の趣味の良さを伺わせるだろう。 ――…持ち主は家を買って満足してばかりで、部屋を一度も使用すらしていないのだが、僕の即席の診療所には丁度いい。 対面に置かれた安楽椅子、その一つを彼女に指し示す、僕はその反対側へ。 真ん中に置かれたテーブルには、湯気の立つコーヒーを置いて。 さて、彼女は促された通り座ってくれるだろうか。* (54) 2024/08/09(Fri) 19:36:01 |