【人】 苗床環者 メディウム− 楽園の片隅で・リヒトーヴ − [その美しいひとは、いつだってこの地にいた。静謐な空気を纏わせて箱庭を守護していた。……立ち尽くすそのひとの元へ、3つの影が近づく。] 「コギト・エルゴ・スム!我思う故に我有り、いい言葉だよねえ。」 「De omnibus dubitandum. 全てについて疑うべし……そうですわね、私たちの様な人間は特に大切な言葉です。」 よかった、まだ居てくれた。 こんにちは、リヒト。騒がしくてごめんな。少しいいだろうか? [フラスコの中の小人と水槽の脳が、壁に彫られた文字を読みあげ、植物の娘が機械の身体へ声をかける。] ……きみはいつか、この『楽園』の外へ行ってしまうのだろうか。いつだって、寂しそうだったから。 「『友』がいたと、以前お聞きしましたわ。彼を探したいと、そうずっと思っていたのですか?」 「あ、いやオレらはそれを止めるつもりは無いよ!元々、ご厚意でココ使わせてもらってるだけだしね。最初は違う場所で研究してたし、君が去ってしまっても勝手に研究も保全も続けるつもり〜」 [3人の「人間」が、口々に告げる。] (54) 2023/11/28(Tue) 22:20:29 |