【人】 室生 悠仁注文が届くのを待っている間は隙間になる。 その暇を突くように、悩み事が再び頭の中を占領して もくもくと煙の如く思考を蝕んでいく。 ─── 彼への想いは不毛だ。 叶うわけでもなく、それでいて自分の意志で 捨て去ることも出来やせず。 何度も考えた。きっと、離れるのが一番いい。 それが俺のためでもあるし、仲の良いと思っている 俺から、彼が裏切られないための方法でもある。 同じことばかりを、飽きもせず思考する。 きっと、決着が着くまでこのままなのだろう。 我ながら女々しいと、自嘲しそうになるのを 外だからと口元を引き締めて耐えた。 (56) 2022/10/18(Tue) 8:45:11 |