[さて。そんな中で。
気安く声をかける速崎の姿に
一瞬だけ肩を揺らした。
>>49……どう、なったのかな。
あの日から意識的に隅に避けていた思考が、
どうしても頭に昇りそうになる。
もちろん速崎とて仕事中の身。
屈託のない笑顔からは内心までは読み取れない。
向こうだって聞かれたい話ではなかっただろうし……。
そわ、としてしまいそうになるのを押しとどめ、
元気よく迎えるオレンジのうさぎに笑顔を向けた。
アイドル時代に培った表情筋は健在である。
カクテルのオーダーを承り、去っていくその背を少し見つめ。]