【人】 『人形屋』 サダル―宿場― 多くの宿が並ぶ、その一画。 店主と同じ顔をした人形が歩いている。 時折こうして歩いている個体は。 諸用を済ませるため。 契約を終えて戻るため。または契約を果たしに向かうため。 そんな理由で街を出歩く。 材料としての契約を果たしていない限り、途中で力尽きると粒子となり掻き消えるので後始末要らずだが、力尽きてない限りはこうなのだ。 今回のこの個体は、一仕事終えた後で。 街の浮かれた空気を感じながら。 ちらほら降る雪を、見ていた。* (57) 2021/12/07(Tue) 22:28:38 |