【人】 絶対専制君主制 コゴマ>>51 マユミ 「緊急事態とあらば、シャッターが下りているのは研究区画だろう。 そこから逃れるなら地上に近い方、俺達と同じく立ち向かえるすべのある方だ。 危険視されている何者かはさておいても、人間はこっちには少ないだろうさ」 手を差し伸べられついてくることには、礼を言いもしなかった。 誰かが自身を助くことは、当然のことだとでも思っているのかもしれない。 ただ、意思疎通が取れないことは不便と理解しているのか、 自分よりも背が低く、手元が塞がってマルチタスクになっている貴方に合わせて、 少しだけ歩調は緩めて静かにしている様子ではあった。 「耳は? きちんと聴こえているのか? 補聴器は? 端末で通信できるんだったらいっそ、全てそれで済ませたい。 イヤホンでも探してきて、声を出さずに連絡出せるようにするか」 貴方に合わせている、というわけではないようだが、便利にできるところはそうしたほうがいい。 どちらにせよ方向性は全て見つかるもの次第だ。 紙であったり乱雑にしまいこんでかまわないものだったり、 この施設の中でも粗末に扱われるようなものの多い部屋へとたどりつく。 耳を澄ませて、ひとけがないことを探った。 (57) 2022/05/31(Tue) 12:27:06 |