
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[──ここに来るまで長かった。>>52 手の届くはずのなかった玉座が、今そこにある。 王位までの道のりの難を排すべく尽力したのは、 リチャードの右腕と謳われるバッキンガムだ。 エドワード4世の即位とヘンリー6世の復位に 貢献したウォリック伯に続く、キングメイカー。 少年の日にバッキンガムがリチャードに 見出した望みは、今日叶う。 深紅の絹のシャツとサテンのホーズを身に着け、 毛皮の縁取りのついたベルベットのマントの裾を引いて、 ウェストミンスター寺院の身廊を一歩一歩歩む。 その長い裾を持つのは、戴冠式で大侍従を務める バッキンガムの役目だ。 リチャードのマントを外したバッキンガムが、 その手をとってキスを捧げる。 厳粛な雰囲気の中、二人の目線が一瞬絡む。 リチャードの口端が、微かに笑みの形に撓んだ。] (57) 2026/08/19(Wed) 21:10:54 |