【人】 事務員 深瀬賢ー少し前の話 小鳩さんと― 「生徒として通いたい、との事でしたね。 貴女の淫魔としての能力は、既にこの学院に在籍している生徒の大半を超えているでしょうし、授業も改めて学ぶ必要もないと考えますが、それでも?」 入学前、彼女の元を訪れて、直接交渉する。 彼女の軽い身辺調査は『私達』が済ませている――淫魔が能力故に利用される、というのは決して初めての事例ではない。 そして、「宵月」は人間と淫魔が共生できるように指導する場所である。 彼女が淫魔として高い能力を持ちながら、あえて生徒になりたいというのなら、彼女が学びたい事とは授業の外にある事なのだろう。 「わかりました、私から理事長に事情を説明しておきましょう。 後日、入学用の書類を送ります。 ――先んず、ご入学おめでとうございます。」 学びを必要とするならば、彼女も立派に生徒の一人だ。 拒む理由もない。** (58) 2024/11/10(Sun) 14:59:27 |