【人】 舞姫 イクリール[テンガンの意趣返しの捨て台詞>>49に返す言葉もなく、うち捨てられた肉体を余韻に震わせたままイクリールは放心していた。この状況に本能が歓喜し理性が絶望して力が入らなかったから。 スピカ>>53が何か言っている。 彼らしい純朴な祈りに、どこか雲行きのあやしい濁りが混ざっているのは聞き間違いだろうか。 ……"スピカ"が、この状況に遭遇したとして。 果たして普段の彼はただ黙って行為の一部始終を見届けただろうか? そもそも、彼はいつから? テンガンを犯す自分を止めるでもなく、自分を貪るテンガンを掬い上げるでもなく、――まるで地の底から事態を見守るような物言いをするだろうか? なにもわからなかった。 ただ、情事によるものとは違う汗がじわりと浮かんでいた] (58) 2021/05/05(Wed) 5:28:34 |