【人】 舞姫 イクリール[言い知れぬ違和感に震える身体を抱き上げられて、疲れきったイクリールはされるがままに湯に浸かる。蒸気と汗が歯形に染みて、ぴりぴりと緊張感を煽った] …………。 [じっと、スピカの述懐に耳を傾ける。>>54>>55>>56 口調自体は普段と変わらないのに、内容は何もかもおかしかった。……いや。イクリールはもう、彼がとつとつと語る欲望の出所を知っていた。快楽のさなか新たに植え付けられた"本能"を。泥の底で歪められた"理性"を。 どうしてだろう。 "イクリール"は泣いていた。 いずれ春の空に帰っていく筈だったお星さまが、いつの間にか地べたに転がる飴玉になっていることに。 女の身体は、味わって良くなったじゃないと彼の矛盾と申し出を悦んでいるのに] (59) 2021/05/05(Wed) 5:29:59 |