人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【人】 Chiavica テオドロ


「ええですから、被害の潜在化が問題となるでしょう。
 『組織犯罪者』Mafia達が一般市民の生活の身近に置かれてしまっているのは無視できない事実であり……

 ここ数年は生まれた親しみによって。或いは反対に報復を恐れて、被害者からの通報・相談が遅れるという傾向が見られました」

厳かな空気の中、男は実地での捜査を取り纏める者の一人として司会進行を買って出て議論を進めている。

「これから防いでいくためにも、人々に対して警察への通報と相談することの重要性、意義等を今一度周知させる必要があります。それには──」

うおっほん。御大層な咳払いがひとつ。
それから『マフィアを一人残らず捕まえればいい』と御無体な意見がもう一つ。

「……すみません、僭越ながら申し上げますが!今は肩書ひとつ取って誰彼もなく罰することは、聊か前時代的で、」

前時代だからいいのではないか、今の警察は腑抜けてしまっている、と。
矢鱈とマフィアに対する強い制裁を望む所長代理を何とか操縦しようとするが、彼が感情を込めて口を開くたびに会議室は厳罰化ムード一色になってしまう。
黙っててもらえないかなとは思いつつ、流石の皮肉屋でも顔にも口にも出せない。こちらが口を噤んで好きに言わせてやる。

(……さて、終わったら何の仕事から片づけようかな)

視線ばかりは議論を見つめつつも、小指の先ほどの興味すら失って、済んだ後のことに想いを馳せるのだった。

#警察署
(62) backador 2023/09/09(Sat) 3:37:48