>>60 キエ
傾く体を、あの日のように支えることは無い。
君に触れる手は、君の手と重なるものだけで。

続く歌に、僅かに目が細まる。


以前に触れた際には感じた熱も、今は失いつつある。


分かっている。……だから、早く。

>>59 シェイド
君に預けた銃を奪おうとキエの手に重ねた手を外したところで。

──ゴン！と己の頭に衝撃が走る。

その行為の意味とかそういうものはあまり理解出来なかった。
ただ、君の叫ぶ声が耳に響いて。


何かを言う前に君が手を引くから、体はそちらに傾く。



狂気に侵されていたはずの思考は、君の行動で疑問で満たされた。
男は、動けずにいる。上手い言葉も言えないまま、目を瞬かせながら。