【人】 魔法使い ミンナ・コンスタンツェ[彼と今のように宿を一緒にしても、ベッドは二つあったし、 眠るときには背を向けて眠ることも多かった。 今思えば、互いに踏み込まない一定の距離があったのだと思う。 旅の始めは知らないことばかりで苦労した。 戦闘の仕方、買い物での値切りの方法、いい宿屋の選定、野宿での野営の準備、その他諸々……。 私よりも幾分か慣れているテンガンに教わりながら、 少しずつ覚えていくのが難しくも楽しく、旅はとても魅力的だった。 だから、というか。 忘れていたのだ。 彼のパーティ募集要項に『魔力の供給』があったこと。 駆け寄った彼は確かに疲れてそうに見えて。 効果があるか分からない回復魔法でもかけるべきかと悩むよりも早く、彼の手が伸びてきたこと。 初めてのファーストキスを奪われたこと。] (62) 2022/05/17(Tue) 23:44:53 |