【人】 Cucciolo アジダル[ 暗色の目元や体格をじろりと確認したが、その人物は 事前に把握していた面々の内に存在しなかったはずだ。 けれど自分たちが踏み入ったのは、人里離れた森の奥。 ハイキングの一般人が偶然立ち入るような場所でない。 一見して堅気で無さそうな体躯の男が 銃口を向けられて平然としている様が 場馴れかそれ以外の理由なのか、 力量を推し量る事も出来ない程度に 未熟な頃の青年には読み切れず。 ] Sigma? ……何だそれ、コードネームか。 浮浪児でももっとマシな言い訳するぜ。 僕は「どうしてここを知っている」って聞いたんだが? [ 聞きなれない響きの名を舌先で転がした。 偽名にしては疑わしすぎる音と、毅然としながら剣呑な瞳、 降伏の両腕が紐づかない。 無暗に牙を剥く幼さは見抜かれやすかった。 奴もまた青年の青さを察したのかも知れないと 勝手に奥歯を噛み締める。 ] (62) 2020/10/02(Fri) 6:46:19 |