【人】 灯守り 芒種[ >>0:509飛びついてきた大きく育ったからだを 慌てもせずに振り返り、抱き留める。 受け止めきれずに転ぶには場所がよろしくないので 保険に、洗面台に腰を凭れておいた。 あの頃よりは色素の落ち着いた髪が ふわりと鼻先をくすぐって 今はもう名残もないはずの赤子の甘い香りを 思い出し、無条件に頬が緩む。 きらいでは、ないのだ。 いとおしくおもう。 それだけならいいのに。 それだけでないからややこしい。 ] あら、あら。どうしたの?お転婆さん。 [ 若い女性の、赤子とは違う、甘い肌の匂い。 髪に鼻を埋めてひとつ深い呼吸をして 観念すれば抱き留めた腕でそっと抱きしめ返して 背中をあやすように摩ってやった ] (62) 2022/01/19(Wed) 15:49:32 |