【人】 アマミ[しかし女はアマミの変わりように驚くことはなく、意にも介さぬように淡々と要件を告げる。 女が真剣な趣となればアマミもまた仕方なしと話だけは聞こうとせざるを得ない。 それからアマミの耳に入ったのは、まず領主の男が亡くなったこと。 次期領主の次男を支えるため、長男としてまた戻ってきて欲しいのだと。 それを聞いた時、少しでも話に耳を傾けたことをひどく後悔したものだ。 アマミは後に自伝を書き残そうとした際、この時のことをこう書き記すことになるだろう。 「人生における無駄な時間の内3本の指に入る出来事だ」と。] (62) 2021/03/31(Wed) 20:48:11 |