【人】 死神のジン ナディル>>39 ■ドラマシーン 1d-A:感情取得>シャフリヤール --- 地上に比べれば濃密なほどの刺激に溢れた この煉獄に於いてさえ退屈を持て余すお大尽 ──シャフリヤールに出くわしたのは、 落ちかけた陽が辺りを橙色に染めあげる街外れだった。 いつも傍に仕えている召使いだけではなく わらわらと取り巻きのお伴を数名連れており、 これから自宅に戻るところだという。 ふーん、という顔で目を逸らしたナディルが そそくさとその場を離れようとしたところ、 むんずと上着の裾を掴まれた。 「死神のジンよ、貴様シーシャはやらないか。 良ければ共にどうだ。」 鷹揚に振り返り、取り巻きどもを睥睨すると 彼らは蜘蛛の子を散らすように離れていく。 「お前……、いま態と呼んだだろう。『死神のジン』と。」 「……いや?そうだったか?記憶が曖昧だな。」 強かというか老獪というか。 こういう手合いには蛇を飼う者が多く、 シャフリヤールも例に漏れずコブラを連れている。 その毒蛇は飢えなど知らぬと言いたげに 艶やかな鱗を纏っていた。 (65) kintoto 2021/09/18(Sat) 17:39:40 |