【人】 住職 チグサ[次に目覚めた時、私の体には様々な管が繋がれていました。 この管の一本一本が私の命を繋ぎとめていたのでしょう。 私は回診に来たお医者様を微睡のままに見上げ、まだ不自由な体を曲げて合掌しました。 この心を表すには、言葉ではあまりにも不完全です。だから言葉ではなく仕草に、感謝を込めました。 私を、体の苦しみから解放してくださったお医者様に。 私はそれまで、僧侶と言う立場でありながら、死をどこか他人事のように捉えていました。 自らに死が迫ってやっと、命の有限性を突き付けられたような気がいたします。 もう若くはありません。その限られた時間の中で、どのように生きるべきか。 お医者様が体を癒すように、僧侶として心の医師でありたい。 このような、貴重な体験をさせていただいたのだから。] (65) 2022/11/05(Sat) 13:27:16 |