【人】 因幡 フウタやれやれ…… [本当に置いていかれて肩をすくめる。 と、駄菓子屋の入り口からひょい、と覗く顔が見えた。 やり取りを聞いてはいたものの、ばあちゃんの手伝いをして接客中だったんだろうか。そんな顔をしている] 一緒に行くか? ふもとまでかけっこでもするか? [手招きすれば、目を輝かせてこちらに向かって来た。 よしよし、と頭を撫でれば、頬を染めて嬉しそうだ] 男は男同士で、ってやつじゃな。 [ふっと笑って少年の背を押してから、共に山を駆ける。 ふわりと、深緑色の年季の入ったマフラーが舞った。 山道の途中で、ときの人力車の背中を見付ける。 遠くて、遠ざかっていく理恵の背中を追い掛け走って…… ガシッと車の後方にしがみついたら、「わっ」とときが声を上げて足を止める。ぶーぶーと子供達二人から文句を言われながらも、横から身を乗り出し、理恵を抱き締めた] (65) 2021/01/11(Mon) 3:27:58 |