【人】 夢うつつ 真珠 『君は、隠り世の住人ではない。』 [そう告げられて、一瞬、貧血でも起こしたかのように、視界が急に小さくなって行く感覚。] え……あ……わたし……、 [この世界の住人ではない、という言葉そのものの意味を、理解できないような顔で彼の瞳を見詰め続けるが、何かまるで、言葉の意味以上の揺らぎが自分の心に生じているような感じがして、] 『ここでは、好きなだけ愛を享受するといい。 皆、君を愛でる事を望んでいる。 欲のままに、求めるといい。』 [次の言葉が告げられた時には、もうその響きをすんなりと脳が受け入れるようになっており。いつもよりも更に薄ぼんやりとした目をしながら、嬉しそうに口を開けると、既に別の方向を向いてしまった男の方をまだぼおっと見ながら、言った。] (66) 2022/03/19(Sat) 0:38:02 |