梨花。
どうぞ宜しく、奥様。
[ りんか、と名乗る声が聞こえて
>>60、
雄吾はその響きから涼やかに鳴る風鈴の音色を連想した。奥様の呼称を口にしたのはむろん、ふと芽生えた悪戯心が為した事である。
おそらくはそう呼ばれ慣れているのだろう、と。]
ええ。
機会があればぜひ、そう望みたいところ。
とはいえ、梨花と話したがる相手は多そうだ。
その機会は俺の方から掴みに行くべきだろうな。
[ 恭しく会釈する麗人へ言葉を向けて、
彼女が去るのを見送った。
そうして雄吾もまた、その場から離れていくのであった。]*