【人】 陽光の元で ニーノ>>54 ニコロ 貴方が視線を向けた先、その墓石に刻まれている名は無く。 こちらはといえば、語る貴方を見上げてじっと視線を注いでいた。 自分よりずっと長い間、正義の肩書を背負って生きてきた人の言葉。 それを一つ一つ真剣に受け止めるようにしてから、最後。 冗談めかした言葉にはきょんと呆けた表情を浮かべ……それでも。 「……そっか」 何か納得したかのような小さな声を落とした。 それからようやくだ、普段通りににへらと笑って。 「その、ニコロせんぱいの首が飛んだら困る人がいっぱいいるし! オレだってそんなのいやなので……いやだからちゃんと、ここだけの内緒にします」 人差し指を立ててまずは内緒のポーズ。 しっかりきっかり誓いを立ててから、言を続けた。 「でも味方につけるまではいかなくても、なんていうか。 いま、オレの中でとりあえずの……したいことは見えた気がするから」 「――だからありがとうございます、せんぱい! オレ、朝より元気が出ました!」 (68) mspn 2023/09/16(Sat) 23:13:01 |