【人】 軍医 ルーク[ どちらが本来の彼か。 最初の記憶? 違う、それだけじゃない。 きっと、『どちらも』だ。 それは、希望的な観測かもしれない、 願いであったかもしれない。 けれど、只の気休めのつもりもない。 記憶が囁くというのなら、いま目の前にいる彼の記憶だって、 何が変わるというのだろう。] 最初の記憶が戻ったからといって、 今の記憶が泡のように消えてなくなってしまうなんて、 絶対に、思うものか。 [ 両手が包まれる。 あたたかな手、冷たく固い義手の手、 最初はきっと、守るためのものではなかったはずなのに、 皆を守り続けていた手。 使うべきではないと思っていることは、 今も変わらないけれど。 暫くの間、そうしていた。] (68) 2020/05/24(Sun) 21:47:44 |