【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 皆様がお帰りになった後、私も、 あのような素晴らしい皆様の前で、 一度で良いから歌ってみたいと、 勇気を振り絞って懇願したけれど、 やはり髪の毛ほどの期待をしたのが馬鹿馬鹿しい と言うほどに、返ってきたのはいつもより 少し激しくなった暴力で。 開かれた世界などに目を奪われず、 ただここで歌っていれば良いのだ、と 投げられる言葉は、いつも街の人たちに 教えを説く時となんら変わらない、 静かに穏やかに凛と響く声。 嗤いながら、その人は、 神父様は 手にした司祭杖で、分厚い聖書で、 祭服の裾を翻しその靴で、それは楽しそうに 私を嬲るのでした。 ] (69) 2020/09/20(Sun) 11:45:11 |