【人】 アマミ[貴族というのは何か勘違いした輩が多い。 「我々は労働を必要としない上級の地位。 だから働かぬ我々に間食など要らない。 間食などみっともない庶民の嗜みだ。」 などと宣い、間食をしないだけに飽き足らず、それ自体を差別的に扱う者すらいる。 己に酔った愚か者の末路と言うべきか。 そんな人間達を嫌という程目の当たりにしてきたアマミにとっては、彼女の作ってくれる食事や間食が目に見えるそれよりもはるかに暖かいもてなしであった。 そんな貴族らしからぬ彼女だ。 以前彼女に「家では良い扱いを受けていない」と聞いた時には分かりやすいほどに眉間に皺を寄せることになっただろう。 あの島で彼女が治した傷に深さがあるのだとアマミが思いつくのはちょうどこの時。 いつかのタイミングで彼女が今も遺っているという過去の痕を話してくれた時には、アマミはその言葉を口にしていたのだった。] (70) 2021/03/31(Wed) 22:20:27 |